Identified
- 相対的「 X 」と 絶対的「 X 」 -

西尾 佳那、新井 毬子、大野 力

会 場 : コートヤードHIROO ガロウ 〒106-0031東京都港区⻄麻布 4-21-2
会 期 : 2023年7月12日 (水) ~  2023年7月30日 (日)
時 間 : 12 : 00 〜 19 : 00
休廊日 : 火曜日
キュレーション:吉永朋華
協賛:エプソン販売 株式会社



コートヤードHIROOガロウにてグループ展「 Identified - 相対的「 X 」と 絶対的「 X 」 - 」を開催致します。
「アイデンティティを尊重する。」昨今はそんな言葉をよく聞きます。アート文脈においても20世紀から21世紀にかけて多くのアーティストが、 自分のアイデンティティに対する社会的認識を問い直し、社会の中で自分を疎外するシステム的問題を批判する方法としてアイデンティティアートを発表してきました。
その結果、時代は「白か黒か」から「白も黒も」になってきていると感じます。けれど実際には、「白」と「黒」の間にはグラデーションが存在します。「白も黒も」という風潮からでは比較から抜け出せず、それは相対的につくられた幻想でしかないのです。
本展示は、3人の若手作家が相対的「 X 」と絶対的「 X 」の狭間を様々な角度・かたちでアプローチします。会期中ぜひご覧ください。

― コートヤードHIROO





アイデンティティ
【 identity 】とは、人格における存在証明または同一性。ある人が一個の人格として時間的・空間的に一貫して存在している認識を持ち、それが他者や共同体からも認められていること。ある人や組織がもっている、他者から区別される独自の性質や特徴。(広辞苑より)


この、「自分が何者であるのかを認識して他者と区別できる状態」を意味する”アイデンティティ”という言葉は現代社会において最も難解な社会問題のひとつに感じる。
人種、環境、パーソナリティ、見た目、「 X 」を含む要素から相対的につくりあげられた「アイデンティティ」という幻想的な縛りと、私が体感している絶対的「 X 」のアイデンティティの間には大きな懐疑がある。
SNSでみるあの人も、よく訪ねていくあの場所も、毎日使うものでさえも。
果たして、「 X 」と認識されていることを疑わないことは幸せなのだろうか。
そこにある変容やグラデーションにこそ本来の「 X 」が垣間見えるものではないだろうか。

本展は、「ある現象や事象について様々な角度で捉え、ものの見方に揺らぎを見出す」ことを挑戦し続ける西尾佳那、「既成概念や形式などを発端に、作家自身の私的なフィルターによって構築された現実と虚構の間に存在するもう一つの世界を提示する」ことを試みる新井毬子、「実体はあるけど相対的に決まるものと、実体はないけど絶対的なもの。」素材の持つ力とその見え方の境界で作品制作する大野力による「アイデンティティとはなんなのか」を問い、考えるグループ展となっている。








西尾 佳那 Kana Nishio

2020年 東京藝術大学美術研究科油画修了。

How to/ハウツー”をキーワードに多様な考え方生き方にふれ、 意味や価値を固定化しないための方法を考える。インタビュー/リサーチのプロセスを経て集めた物事を編集し、映像やオブジェクトを組み合わせたインスタレーション作品を制作している。






新井 毬子 Marico Arai

鳥、犬、ダルマ、縄文土偶や蝿など、意味を込める"器"としてビジュアルの強い象徴的なモチーフを用いて、映像や立体インスタレーションを制作している。大小様々な社会構造の中で生じた既存概念や形式、かつて存在したであろう歴史などを発端に、それらを一度分解し、作家自身の私的な感情や記憶を混ぜ合わせながら再構築することで、現実と虚構の間に存在するような"知っているけれど知らない"、"わかるけどわからない"もう一つの異質な世界を提示することを試みている。






大野 力 Chikara Ohno

2022 東京藝術大学美術研究科彫刻専攻 修了

物質性、相対性、認識、さまざまなレイヤーが重なって一つの表面を持つこと。
存在とは何か。彫刻や絵画の持つ物理的制約、プロセスを解体し、考える。



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