異なる土地への移住や国境の往来を繰り返すアーティスト達にとって「家にいる」とはどういう状態なのでしょうか。本展において、「家」とは必ずしも慣れしんだ安らぎの場を意味するものではありません。むしろここで示される「家」は、一時的、虚構的、不安定で不明瞭な場所を示唆しています。自分自身が置かれる場所への違和感や慣れ親しんだ家を逆説的に奇妙で驚異的なものにしてしまう…といったように、アーティストそれぞれが思い思いに「家」やその周辺に関わる様々なことがらを扱い作品を展開します。

国境を越えた都市化や移民をはじめとする人々の移動が進むにつれて、特定のコミュニティーのアイデンティティの形成やそこに属していないものを排除する「定点としての家」の概念はもはや機能しなくなってきています。本展では、現代社会において、果てしなく拡張し続けるフィールドで多感に情報収集し、感じ、繋げていくというアーティスト達のアプローチに焦点を絞ります。そして、記憶、欲望、漂流し続けるといったパラドックスを包括した「家」という概念について再考することを試みます。

参加アーティスト
Junko Otake
Hana Sakuma
Richard Paul
Freyja Dean
Junya Kataoka and Rie Iwatake
John L Tran